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いつも当たり前のように一緒に居てくれたから
全然気づかなかったんだ。
そばに居られなくなってから気づくなんて
ちょっと間抜けで、アタシらしくて笑っちゃったよ。
涙まで出てきて止まらなくなっちゃった。
笑いながら泣いてるアタシ・・・きっと回りの人が見たらびっくりするよね。
普段、クールで感情をあんまり出さないって思われてるけど
ホントはそんなことないんだよ。
ただ、素直じゃないから自分の気持ち正直に出せないだけなんだ。
ただ、意地っ張りだから我慢しちゃうだけなんだよ。
そんなアタシを全部わかってくれて、優しく包んでくれたのは
よしこだけだった。
よしこはどんな時でも、何も言わなくても、
アタシの気持ちちゃんとわかってくれてて
さりげなく欲しいモノくれるんだよね。
それは・・・時には言葉だったり、笑顔だったり、いろんな風に形を変えて、
アタシのこと支えてくれた。
そんなよしこがそばに居てくれたから今までがんばってこれたんだよ。
そんなよしこに憧れてたんだ。ホントに大好きだったんだよ。
でもこの気持ちが友情とは違うなんて気づかなかったんだ。
・・・ううん。ホントは知ってた。
でもそれに気づくのが恐かったんだ。
ねぇ、よしこ
アタシの気持ちを知ったらあなたはどうする?
離れてく?キライになる?・・・それとも応えてくれるかな?
どっちにしたって友達のままじゃいられないよね。
だけど、このままじゃアタシは不安と寂しさで死んじゃいそうだよ。
〜♪〜〜♪
不意に鳴った携帯のメロディ
この曲が流れるのはよしこだけ。
「もしもし?」
『あ・・・ごっちん、まだ仕事?』
「ううん、もう終わった。今もう家にいるよ。」
『あのさ・・・ちょっと話したいことがあってさ、今から行ってもいいかな?』
「アタシは全然かまわないよ。」
『じゃ、今から行くね。』
「うん、待ってる。」
よしこの話したいことってなんだろう?
気になるけど、それ以上によしこに会えることが嬉しくて
さっきまで泣いてたくせに
すっかり笑顔になっちゃってる。
「ごっちん、ごめんね急に。」
「ううん、全然かまわないよ。で、話したいことって何さ?」
「あー・・・うん。あのね・・・最近あたし変なんだ。」
「変っていつもじゃん?」
「ひっどーい!真面目な話をしようとしてるのに。」
「あはは、ごめんごめん。で、どうしたのよ?」
「・・・」
よしこは俯いて1回大きく深呼吸をした。
なんだかライブ前の緊張してるよしこの様子と似てる気がする。
どうしたの?
「あのさ、ごっちんが娘。からいなくなってからあたし変なんだよ。
左隣が妙にスカスカするっていうかさ、こう、なんていうのかな・・・・
あー・・・ごめん、はっきり言います。」
「はい?」
「あたしはごっちんのことが好きです。」
「え?」
「あたしの気持ちは友情じゃなくって、その・・・恋愛感情ってやつ?」
「マジで?」
「うん。ごっちんが側にいた時には全然気づかなかったけど・・・どうやらマジ。」
いろんなところよく似てると思ってたけど、こんなとこまで似てるんだ。
よしこも同じ気持ちだったんだね。
「アタシもだよ。」
「へ?」
「アタシもよしこにその言葉言いたかったの。」
「・・・マジで?」
「うん。マジでアタシはよしこのことが好きです。」
「ありがと。」
ありがとはアタシの方だよ
いつだって、アタシが戸惑ってる時にその上を軽く飛び越えてっちゃうんだから
今度はアタシが1歩踏み出す番だよね。
よしこの首に腕を廻して、そっと顔を近づけた。
まるでそれが合図みたいに、よしこは目を閉じた。
ゆっくり重なる唇。
触れただけの軽いキス。
友達の時にもしてたけど、今日のキスはなんか違う。
よしこの唇が震えてたから。
「アタシとよしこ、今日から恋人同士なんだね。」
「うん。」
やっと緊張が解けたみたいでいつもの柔らかい笑顔を見せてくれた。
背中に回った長い腕が暖かい。
「よろしくね、ごっちん。」
「うーん・・・恋人同士なんだからさ、ごっちんはないでしょ?」
「え、じゃあなんて呼んだらいいのさ?」
「名前で呼んでよ。」
「・・・はずかしいよぉ。」
「なんでさー!呼んでよ!」
「あー、はいはい。 真希ちゃん。」
「ちゃんはいらない。」
「・・・真希。」
「何、ひとみ?」
「え?」
「実はアタシが呼んでみたかったんだよね。あはっ。」
「・・・バカ。」
こつんっ
おでことおでこをくっつけて、照れたように笑うよしこ。
間近でみる顔はやっぱすごく整っててキレイだけど
今日の笑顔が特別に見えるのはきっと恋してるから。
身体は離れてしまったけど、心の距離はいままでより近い。
そんな風に思えるようになった今日は
恋が実った日。
end
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