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「久しぶりに外でデートしようよ。」
君からの嬉しい誘いに
前の日はなかなか眠れなくって
やっぱり遅刻しちゃった・・・
起きた時間にビックリして大慌てで準備したから
せっかくの久しぶりのデートだっていうのに
いつもと同じジーパンにTシャツ。
ホントは君にかわいいって言ってもらえるような
女の子な格好するつもりだったのにな。
待ち合わせの場所に1時間遅れてきたアタシ。
「遅れてごめんね!」
「いいよー。いつものことだしね。」
頭を下げたアタシの視界に入る君の足元。
アレ?
慌てて頭を上げて君を見る。
少し恥ずかしそうな笑顔で笑う女の子な格好の君。
「よしこ・・・かわいい。」
「え?そう?」
照れた笑顔でスカートの裾をヒラヒラ・・・
どうしよう。
アタシの心臓ドキドキ・・・ううん、これはもうバクバク言ってるって感じ。
どうしよう。
抱きしめたいけどココじゃダメ。
「そんなに見つめられると照れるってばさ。」
「・・・あ、ごめん。見とれちゃってたよ。」
お互い真っ赤な顔して俯く。
オイオイ付き合って何年になるのよ。
コレじゃ初デートの中学生だよ。
「じ、じゃあ、行こっか?」
「あ、う、うん。」
オイオイ、緊張する相手じゃないでしょお互い。
「えっと、今日は映画だっけ?」
「そう。」
いつもなら手を引いて半歩前を歩くよしこ。
でも今日はアタシが手を引いて半歩前。
緊張しちゃって汗ばむ手のひら。
恥ずかしくって、だけどなんか嬉しくって口元が緩む。
見た映画の内容なんか全然覚えてないよ。
横目でこっそりと眺めたよしこのキレイな横顔しか覚えてない。
よしこの方は真剣な顔して見てたけど。
映画の後で入った喫茶店。
今日ずっと思ってた疑問に答えてもらうチャンスだよね。
「ねぇ、今日はなんでスカートなの?」
「ヘン?」
「ううん、すっごいかわいいけど。」
「いやー、この間のハロモニ。でさ安倍さんに言われたじゃん。」
「気にしてたの?」
よしこのことオンナじゃないような感じの言い方だったもんね。
なっちの発言は確かにどうかと思うけど
アレは天然だし、悪気があって言ってるわけじゃないしねぇ
「や、別に気にしてはいなかったんだけどね。実際男の子っぽいし。」
「うん。」
「・・・だけどさ、ごっちんにはかわいいって言われたいし、
やっぱ女の子なあたしもちゃんと見てもらいたくてさ。」
「よしこは、女の子だよ。誰よりもかわいい。すっごいキレイな女の子だよ。」
「ありがと。」
いつだってアタシの前じゃ「男の子」な顔と「女の子」な顔が見え隠れして
その度によしこに夢中になっちゃってるのに
それは余計な心配ってなもんでしょ?
「良かったな。」
「何が?」
「久しぶりのデートだからアタシもかわいい格好しようと思ってたんだけど
寝過ごしちゃってさ・・・この格好なワケよ。」
「寝過ごすなよ。」
「いやー、あはは。でも2人でかわいい格好してたらデートっぽくないじゃん?
だから良かったんだよ。うんうん。」
「そう?あたしは女の子なごっちん見たかったなぁ。」
「バッカ。」
「へへへ・・・。」
手を繋いでアタシの家への帰り道。
夕焼けに染まった君の横顔はほんのり赤くてとてもキレイ。
「キレイだね。」
「そうだね。」
夕日に目を細めて町並みを見つめる君は
アタシの言葉が自分に向けられたものだと思ってないみたい。
「よしこ、とってもキレイだよ。」
「えっ!? あ・・・ありがと。」
俯く君の顔がさっきより赤く見えるのは夕日だけのせいじゃないよね?
「やっぱさ、たまにはこういう格好するのもいいかもね。」
「うん?」
「だって、ごっちんが褒めてくれるし。」
「アタシの前以外ではあまりして欲しくないけどね。」
「なんで?」
「さぁね。」
答えてあげなかったけど理由は簡単でしょ?
こんなかわいい女の子な君を他の人に見せるのはもったいないからだよ。
end
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