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「痛いっ、痛いって。」
「どういうこと、これ。」
楽屋に戻ってくるとすぐに、うちは愛しのごっちんに耳を掴まれて、
圭ちゃんのモバイルの前に正座されられている。
ディスプレイにはモー娘。目撃談とやらが映し出されている。
「これがなに?」
「読んでみて。」
『この前の木曜日4時ごろ渋谷でよっすぃー見ちゃった!
金髪でオレンジのサングラスした人と仲良さそうに歩いてたよ。』
ヤバイ、へんな汗出てきた。えっと木曜は確か…。
「だれ?」
「はいぃ?」
あぅ、ヤバイ、声裏返っちゃった、動揺してんのバレバレ?
ちょっと圭ちゃん何てことすんのさ。
「ほら、あれだよあれ。」
もうダメだぁ。情けないことに言い訳さえ出てこない。
すると、隣からもさっきうちがあげた悲鳴と同じ声が。
「痛い、痛いってあゆみぃ。」
「どういうことか説明してよ!」
「ごっちん大谷さんどうしたんだろうね?」
「話そらさないで。」
そぅ〜とぅ〜ご立腹のごっちん。
ちょっと、圭ちゃん笑ってないで助けてよぉ。
「知らないよ、そんなの。」
「とぼけるつもり?」
どうやらお隣も同じ展開の様子。
「なんかね、大谷を見たっていう書きこみもあったから、柴田にちょっとね。」
圭ちゃんが嬉しそうに教えてくれた。
ディスプレイをちょこちょこってスクロールさせたら、書いてありました。
『渋谷でメロンの大谷さん見ました。大谷さんより少し背が高くて
帽子を目深にかぶって水色のTシャツ着た人と歩いてました。』
って「あー!!」
「あー、あー、」
その声に皆が振り向いた。そして、
「あー、あー、」
大谷も叫んだ。
「「あー、あー、」」
「「二人ともうるさい!」」
ごっちんと柴ちゃんもハモル。
「大谷さんじゃん。」
「よっすぃーじゃん。」
「「はい?」」
「だから、それ大谷さん。」
「だから、それよっすぃーだよ。」
「「な〜んだ。」」
というわけで一件落着。
そして開放されたうちらはコソコソと楽屋を脱出。
「はぁ、マジやばかったですよね。」
「うん、冷や汗でた。」
そうなんです、大谷さんと一緒だったのはウソではないのですが、
二人きりではなかったのです。
「あれから、アヤカと何処行ったの?」
「えっとですねぇ。」
はい、あの日は四人で食事したんです。
うちと、アヤカちゃん。大谷さんとまいちゃんで。
その後はもちろん別行動ってことで。
「それにしてもよっすぃー、アヤカとイイ感じだったよねぇ。」
「アヤカちゃんのお姉さんぽいところ、たまんないんですよねぇ、
積極的だし。うちの後藤さんはあーみえて甘えん坊なんで。」
「うん、うん。」
「でも大谷さんもまいちゃんといい雰囲気だったじゃないっすか。」
「まぁねぇ、うちのはさ、あーみえてかなりきついから、まいちゃん
みたいにおとなしい子にそそられるんだよねぇ。」
うちらがそんな話で盛り上がっていると前からアヤカちゃんが。
「ハ〜イ!」
「「ウィーッス!」」
「こないだは楽しかったね、また四人でダブルデートしようね。」
「「うん。」」
うちらは首がもげるほど頷いた。
「ハ〜イ!ごっちんに柴ちゃん。」
あのー大谷さん、うちの背中なんか刺さってませんか?
スゲー痛いんですけど。
ヘンな汗でまくってるんですけど。
「あのー吉澤さんちょっといいですかね。」
あのー後藤さんその敬語、かなり怖いんですけど。
「マサオ!ちょっと来て!」
あのー柴ちゃん、大谷さん今にも倒れそうなくらい顔青くなってますよ。
「「ごめんなさい。」」
うちらふたりは必死で謝るのみ。
「「もうしません、二度としません、どうか許してください。」」
ハロプロ内で男前で通っている二人は実は恋人に頭の上がらない
ヘタレでダメダメな二人組なのでした。
end
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