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よしこ、今日うちくるでしょ?」
「うーん、今日は疲れてるからうち帰るよ、ごめんね。」
「そっか、わかった。じゃぁ明日ね。」
ごっちんが見えなくなるまで手を振りつづけたら、回れ右。
TV局へUターン。
「あれっ、まだ来てないんですか?」
「うん、お嬢様方は色々とご用意がね。」
「そうなんですよね、女の人は出掛けようって言ってからが長いですもんね。」
「そうそう、服がどうの、靴がどうのって。」
「まぁうちの後藤さんは、何を着ても似合うんですけどね。」
「うちのあゆみさんも、何着てもかわいいですよ。」
と、いつのまにかのろけ話を始めていると、レディース達の姿が見えてきた。
「大谷さん、こんなところで待ち合わせってまずくないですか?」
「大丈夫!結構、堂々としていればバレないもんだよ。」
「へぇー、そんなもんなんですかね。」
「TV局じゃあんまり目立たないからね、周りも案外見てないもんなんだよ。」
そう言われると大丈夫な気がしてくる。
「「すいません、待ちました?」」
「「ううん、全然。」」
見事にハモった、うちら。さわやかに決めた笑顔も。
待ち合わせの定番を決めた自分たちに、そろって苦笑い。
「行こうか?」
「はい。」
「何食べたい?」
「「焼肉!」」
「あっ、でも吉澤さんお肉苦手なんですよね?」
「うん、でも大丈夫。じゃぁ焼肉決定ね。」
「そういえばふたりで焼き鳥屋とか行ってるんだって?」
「はい、本当はミキスケとじゃなくて吉澤さんと行きたいですけど。」
「本当に?」
「もちろんです!」
「よっすぃーも松浦も置いていくぞ〜。」
「「はーい。」」
ということで、松浦さんと藤本さんと四人で楽しくお食事。
のはずだったんですが…。
えっとこれどういう事でしょうか?
もしかして……。
カメラどこ?そこの観葉植物に隠されてるの?
「「ははっ。」」
うち、大丈夫?顔ひきつってない?上手く笑えてる?
大谷さんとお互いの顔をチェックしあう。
「あのー。」
「なに!」
せっかく大谷さんが勇気出したのに、柴ちゃん怖いよぅ。
そして隣の彼女はもっと……。
「この前、もう二度としませんって約束したよね、吉澤さん。」
「はい、すいません。」
今日はいつにもまして迫力ありすぎですよ、後藤さん。
「じゃぁ、これはいったいどういうこと?」
「あのー、えっと、そのー。」
「はっきりしなさい!」
「はいぃぃぃ。いや、ほら、たまに温泉とかいって気持ちいいなって思っても、
家に帰ってくるとさ、やっぱり家が一番とか思うでしょ?でもそれって
温泉行かないと気付けない訳で…。だからこれもそれと同じで…。」
『バシッ!』
後藤さん、テーブル割れそうですぅ。
「ご、ごめんなさい。」
言い訳しろって言ったのそっちじゃんか、結局何を言っても怒るのね。
「あのー。」
大谷さん頑張れ。
「なに!!」
そこでひるんじゃダメですよ。
「あの。おふたりはどうしてココが…。」
「そんな事言ってる場合?」
「いえ、ごめんなさい。」
実はうちも不思議だったんですよね。
ここは個室だし…。
それにうちはここ初めて来たし、ごっちんがよく来てるとも考えられない。
だとしたら柴ちゃん関係?
うちが頭を悩ませていると……。
「よしこも懲りないわね。」
耳にかなり馴染んだ声。
あぁそういう訳ね。
焼肉屋にこの人ありってこと忘れてました。
「隣の部屋から楽しそうな声聞こえてきちゃったからかわいい後輩にね、
連絡してあげたの。あたしっていい先輩でしょ?」
はい、いい先輩です。首絞めたいくらいに。
「ハーイ、ダーリン。」
相変わらすアヤカちゃんはきれいです。
「ハーイ!」
「よしこっ。」
痛い、痛いです。アヤカちゃんのハーイにつられたら腕つねられた。
でも、ダーリンっていい響き。
「何、にやけてんの!」
「いえ、別に…。」
痛いって、ごっちん力強いんだからちょっとは加減してよ、まじで。
あー腕、赤くなってんじゃん。
「ははっ、ごっちんと柴ちゃんの前じゃあんた達も形無しだね。」
「圭ちゃ〜ん。」
いったい誰のせいでこうなったと思ってるんすか、恨んでやる。
「あんたのせいでしょ!」
「もっともです。」
えっ圭ちゃんなんで分かったの?
「あんたの考えそうな事ぐらいお見通しよ!」
圭ちゃんこえ〜、ある意味カッケー。
って感心してる場合じゃなかった。
あのー、もうひとつ気になる事があるんですが…。
「すいません、ちょっと質問していいですか?」
「どうぞ。」
「あやゃと藤本は……。」
うわっ、に、にらまれた。
もう勘弁してください、そのひと睨みで寿命が一年は縮まっている気がするよ。
「あんた達のヘタレぶりに失望して帰っていったよ。」
圭ちゃんすごーく楽しそうなんですけど…。
だよね、まぁこんな姿みたらねぇ、カッコわる〜。
「っていうのは冗談で、そちらのお姉さま方が帰れって追い返したみたい。」
なんだそうだったのか、よかった。
ってよくないじゃん、後で謝んなきゃね。
「それで?」
「はい?」
「はい?じゃないでしょ。」
「すいません。」
いったいどうすればいいんですか?
どうせ謝ったって、謝ればいいと思ってんでしょ?とか言うだろうし、
だからって謝らないと、悪いと思ってる訳?とか言われるだろうし、
どうすりゃいいんでしょうね、ねぇ大谷さん。
と、大谷さんを見れば……。
うわっ、大谷さんなんか逆ギレ寸前って顔してますよ?
ヤバイです、非常にヤバイですよ、みなさん。
「いったいどうしろって言うんだよ。だってただご飯食べただけじゃん。
つーかまだ途中だし。じゃぁなにか、うちらはきみら以外の人と
食事もしちゃいけないってか!あーもう、はい、はい、分かりました。
別れる、別れてやる!!」
「そ、そんな、大谷さん、はやまっちゃダメですって。」
「いいんだよ、もう。」
おーい柴ちゃん?なんか固まってますが…。
そしてなんでごっちんまで固まってるの?ビックリしちゃったの?
「よしこも別れたいの?」
えっ、なんでそうなるの?ごっちん泣きそうだし。
「いや、うちは、あの…。」
あっ、泣いた。
「ごっちん?」
あーもう大谷さんなんてことするんですか。
えーっとよし男前モードスイッチON!
「ごっちん、ごめんね。もうしないよ、絶対。ごっちん以外の人とは
出掛けないし、ごっちんが嫌だっていうなら口もきかない。
うちにはごっちんしかいないから。別れたいなんて思った事一度もないよ。」
「よしこー。」
「ごっちーん。」
やっぱりごっちんの抱きごこちは最高です。はぁ本日もこれにて一件落着。
な、はずもなく。
また雨、風、雷、嵐は去っていなかったようです。
「こっちの方からあんたみたいな浮気バカ別れてやる!」
柴ちゃん何気に口悪いよね。
「浮気バカで結構、この束縛オンナ。」
大谷さんもやめましょうよ。
圭ちゃんとアヤカちゃんはすっごい楽しそうだし。
あっアヤカちゃんと目が合った、ウインクされた、思わず顔が…。
ごっちんに見られたらヤバイからぎゅっと抱きしめちゃえ。
「よしこ、痛い。」
「ごめんね、ごっちん帰ろっか?」
「うん。」
「大谷さん柴ちゃん、うちらはそろそろ帰りますけど…。」
そちらは、まだケンカ続行中らしいですね。
「この間だって私が横にいるのに高橋さん口説いてたでしょ、知ってるんだから。」
「それは自分が石川さんとばかり話しているからだろ。」
「もういい帰る。行こう、ごっちん。」
「はい?」
「こっちの方が先に帰ってやる。行くよ、よっすぃー。」
「はい?」
ちょっ、ちょっと待ってよ。なんでうちらが巻き添えくらうの?
うちらは仲直りしたんですって、これからラブラブに過ごすんですから。
必死に抵抗するも怒りのパワーは凄まじく
うちは大谷さんにひっぱられ左へ、
ごっちんは柴ちゃんに手を引かれ右へ、
普段だったらどう考えてもうちらの方が力は強いはずなのに、
このふたり、恐ろしい。
「よしこ〜。」
「ごっち〜ん。」
そのまま、うちらは離れ離れに。
その後も大谷さんに捕まって結局遅くなってしまい、自分の家に帰宅。
そして次の日、
早めに起床しうちは愛しの彼女の家までお迎えに。
「ごっちんおはよう。」
「迎えに来てくれたの?」
「一刻も早く逢いたくてね。」
「うれしいよぉ。」
『チュッ』
うちらは事務所へおてて繋いで仲良く到着。
「「おはようございます。」」
中に入ってうちは我が目を疑いました。
そこにはラブラブをとおり越してムカツク程にイチャイチャしているおふたりが。
昨日別れるとわめいて、うちらを引き離したおふたりがいらっしゃいました。
「「おはよう。よっすぃー、ごっちん、昨日はごめんね。」」
そんな爽やかに言われたら「いいですよ。」としか言えないじゃないですか。
横にいるごっちんを見たら少し睨んでた。
「よかったね、ごっちん。」
「よかったけど……、昨日あれから二時間も愚痴聞かされたんだよ。」
「うちもだよー、でもよかったよ、うん。」
「そうだね。」
という訳で、今度こそ一件落着。
と思ったのに……。
「ちょっとあんた達ー。」
圭ちゃん朝から元気だね。
でもそんなに怒鳴ったら血管切れるよ?
「「おはよう圭ちゃん。」」
「おはよう。」
圭ちゃんは一瞬、ん?って顔をした。
もしかして何を言おうとしたか忘れたんじゃ……、
ボケが始まったとか?……まさかね。
今度はあ!って顔した。思い出したの?
「そうだあんた達。」
「なぁーにー?」
「なぁーにーじゃないわよ、よしこに大谷!なんであたしがあんた達の分まで
払わなきゃならないのよ!」
「ん?」
「昨日食い逃げしたでしょ、お金払ってなんかおかしいなって思ったら
あんた達の分まであたし達についてたのよ!」
「「あっ。」」
そういえばどさくさにまぎれてお金払うの忘れてた、ラッキー。
こんな時は……。
「「圭ちゃんご馳走様でした。持つべきものは美人で優しい先輩ですよね。
いやーうちらって本当に幸せ者だよね。」」
「美人だなんて。本当にそう思う?」
「「はい、もちろん。」」
今のうちにごっちん逃げるよ!大谷さんも柴ちゃんも行くよ!
そして四人でアイコンタクトを取り、ソロリソロリと…。
「こらー逃げるんじゃないわよー。」
「「ワァーーー。」」
そんなこんなで本当に一件落着なのでした。
end
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