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今日は、4月12日。
アタシにとって一番大切な日。
何の日かって?
大好きなよしこが生まれた日だよ。
この日だけは世界中の全部に感謝したくなっちゃう。
よしこにとっても特別な日なのに、
他の誰でもなく、アタシと過ごしてくれることが嬉しいんだ。
だから、いつもより丁寧に心をこめてケーキを焼いた。
だーいすきなよしこのためのバースデーケーキ。
机の上には綺麗にラッピングされたプレゼントが置かれてる。
「よし!準備OK!!」
あとはよしこが来るのを待つだけだ。
よしこ、喜んでくれるかな?
プレゼント気に入ってくれるとイイな。
「ごっちーん。きたよー。」
すっかり自分の家みたいに馴染んだよしこは
なんの迷いもなくアタシの部屋に一直線。
最初は緊張してギクシャクしてたのがウソみたい。
「ふふふ・・・。」
こんなちっちゃなことも嬉しいな。
「なーに笑ってんのぉ?」
不思議そうな顔でアタシを覗くよしこの顔も笑ってた。
「んー?別にぃ。」
「変なごっちん。」
変だもーん。
よしこのこと好きすぎて変になっちゃったんだもーん。
ぶっきらぼうな口調と裏腹に優しく頭をなでてくれるよしこの大きな手。
あーやっぱ幸せだなぁ。
「よしこ、お誕生日おめでとー!」
目の前のケーキにささったロウソクは18本。
半年だけ年上のよしこ。
一気に吹き消して、嬉しそうな顔。
喜んでくれてるのがよくわかる。
よかった〜。
「うーんおいしー。やっぱごっちんのケーキは最高だよ。」
おいしそうにケーキを頬張ってる。
「そんなに食べると太っちゃうよ?」
ちょっと呆れた。だってもう3つ目だよ?
「うっ・・・いーの!今日は特別!」
「ホントーに?」
「だって、ごっちんの愛情がたーっぷり詰まってるケーキを残すなんてできません。」
さすが、よしこ。
ちゃんとわかってくれてるねぇ
「わかってますとも。ごっちんのことならなんでもね。」
かっこよくウインクして決めたつもりなんだろうけど
ほっぺにクリームついてるから、かわいくって笑っちゃったよ。
「ぷっ・・・よしこほっぺにクリームついてるよぉ。」
「え?どこどこ?」
「ここ。」
よしこのほっぺについたクリームを取ってあげて、
ついでにそっとキスをした。
そうだ、大事なものを忘れてた。
「よしこ、これプレゼント。」
「ありがとー。」
アタシのあげたプレゼントを大事そうに両手でつつみ込んで嬉しそうな顔。
「開けてみていい?」
「どーぞ。」
ドキドキしちゃうなー。
気に入ってくれるかな?
「うわぁ・・・」
中に入っていたのは月の刻印がされてる
シンプルなシルバーのピアス。
結構高かったんだったけど、奮発して買っちゃった。
「かっけー・・・ありがとごっちん。すっごい気に入った。」
そう言ってぎゅーって抱きしめてくれた。
「気に入ってくれてうれしーよ。」
実はアタシもこっそりおそろいのピアスしてたりする。
アタシのほうは太陽の刻印だけどね。
でも見えないように髪の毛で隠してるけど。
太陽の刻印と月の刻印には意味があるんだよ。
でもそれはアタシだけの秘密。
教えてあげないよーだ。
「さっそくつけてみよーっと。」
どう似合うー?って髪を耳にかけてピアスを見せてくれた。
「うん、すごい似合ってるよ。」
えへへって笑いながら私の髪を撫でて
「ありがとーね。」
ほっぺにチュってしてくれた。
「・・・あれ?」
「んぁ?」
「これって・・・。」
耳にかかる髪をそっと掻き揚げてアタシのピアスをじーっと見てる。
やばっバレた!!
「おそろだよね?でも、刻印が違うんだ・・・これ太陽?」
「・・・うん。」
あれ?なんだかよしこ不満そう。
「おそろダメだった?」
「いや、ダメじゃないけど・・・なんで同じ刻印じゃないの?」
どうせなら同じが良かったなって伏し目がちに俯いた。
寂しそうにしょんぼりしてるよしこ見てらんない。
「これには意味があるんだよ。」
「意味?」
あのね、アタシにとってよしこは太陽だから。
よしこの光を反射して輝くアタシは月だから・・・
「だから、よしこには『月』の方を持っててもらいたかったの。」
【 離れてても、一緒にいるよ。】
アタシがピアスに込めたメッセージ。
あーあ、秘密だったのに。
「そんな意味があったんだ・・・。」
俯いたままのよしこの顔が赤くなってる。
なんだかアタシも顔が熱い。
「でもね、『太陽』はごっちんだよ。あたしに光を与えてくれる人。
あたしはごっちんの言葉とか表情とか・・・
あたしにくれるそういったこと全部に揺れて
満ちたり欠けたり・・・。」
だからあたしが『月』なんだ。
よしこはアタシのことそんな風に思ってたんだ。
アタシ達こんなとこまで似てるんだね。
「・・・嬉しいんだけど。困ったなぁ。」
「うん?どした?」
だってさ、よしこもアタシのこと『太陽』だって思ってるんでしょ?
それじゃあ『アタシと一緒にいるよ』ってメッセージの意味じゃないじゃん。
でも、アタシにとってもよしこは『太陽』だから
このピアスは取り替えられないし・・・
「やっぱ2人おそろいにしとけば良かった。」
ガックリ。
「なーんだそんなことか。」
そんなこと?
アタシにとってはすごい大切なメッセージなのに
よしこにとっては「そんなこと」なんだ。
「あーちがうよ。あたしにとってもそのメッセージはものすごく意味があるし、
大事だよ。」
じゃあなんで「そんなこと」なの?
よしこは「ちょっと、ごめんね。」ってアタシの左耳のピアスをはずして
その後、自分のを片方はずしてアタシにつけた。
はずしたアタシのピアスはもちろんよしこの耳に。
「ほーら、これで『ピアスのよしことごっちん』も一緒だよ。」
おそろいになったピアス
「よしこ・・・頭いい。」
「あはは、惚れ直した?」
「うん。惚れ直した。」
「そいつは良かった。」
つつみ込むように抱きしめてくれたよしこが耳元で囁いた。
「メッセージありがとね。すごく嬉しかった。
大好きだよ・・・真希。」
初めてそんな風に名前で呼ばれた気がする。
ビックリしてよしこの顔を覗いたら
照れた顔して笑ってて
なんだか嬉しくて、愛しくてたまんない。
この気持ちどうやったら伝えられるかな?
「アタシも大好きだよ。ひとみ。」
よしこは目を細めて愛しそうに優しい笑顔を見せてくれた。
あは!ちゃんと伝わったみたい。
あーやっぱりアタシこの人を好きになって良かったな。
そっと重ねた唇は、初めての時みたいにドキドキした。
こうやっていつまでも新鮮な気持ち持ち続けていられるのは
よしことだからだって思うんだ。
だから・・・
ずっと一緒にいようね。
これからもよろしくね。
end
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