もしも願いが叶うなら



バタバタッ

なんだよ〜朝から騒がしいな。

「にゃ〜。」
「あっごま起しちゃった?ごめんね。あたし仕事だから家でおとなしく待っててね。」

よしこはそう言って慌しく出ていった。

ぽつんと1人になったアタシ。
よしこのいない部屋はものすごく寂しい。
用意してくれていたゴハンを覗く。

猫まっしぐらって・・・アタシがコレ食べんの!?
そりゃ今は猫だけどね。
でもね、コレはちょっとさ・・・一応アタシも人間としての誇りっつーかさ
コレ食べちゃったらホント猫としての暮らしを受け入れちゃうような気がするっつーかさ
とにかく、イヤだ!

ぐぅ〜っ

あ・・・お腹鳴っちゃったよ。
きょろきょろと回りを探してみたけど・・・
実はよしこはあまり間食をしない。
人からもらったら食べるくらいで、自分で買って食べることってほとんどない。
だからいくら探しても食べ物らしきものがあるはずない。

これがアタシの部屋だったら、いくらでも食べる物あるのにっ

悔しくてクッション相手にケンカ中。
えいえいっ ぼすぼすっ
抵抗しないクッションはひたすら殴られるばかり。

ぐぅ〜ぐぅ〜

・・・動いたから余計にお腹空いた。

じーっと見つめるゴハン皿。
いくら見つめてもそこにあるのはキャットフード。

よしこんち猫なんて飼ってなかったよね。
コレ、いつ買ってきたんだろ?

絶対集合時間より早く着くようにかなりの余裕を持って出かけるよしこ。
出かける前のバタバタした時間にアタシのために用意してくれたんだよね。

目の前に浮かぶよしこの優しい笑顔。

食べなかったら悲しむかな?
よしこのことだからすっごく心配するんだろうな。

ごくりっ

アタシは覚悟を決めて、キャットフードを食べた。
味は薄味で思ったよりイケた。
でも、人間としてなんか大事なものを失ったような気がするのはナゼだろう。



そして、もう一つ困った問題が起きた。
トイレに行きたいっ
なのに・・・猫トイレすらないよ。
いや、あってもコレばっかりは使えないけど。

もー!!よしこのばかぁ

アタシは必死でドアに跳びついた。
なんとかドアノブに前足が届いて少し隙間が空いた。
目の前に廊下が見える。
次にアタシがとった行動は・・・トイレに向かってダッシュ!

ちゃんと人間用のトイレで用が足せてよかったよ。





所詮、今のアタシは猫だから
ドアを引いて締めるなんて芸当できないわけですよ。
だからそのままにしといたんだ。
それが、この後の悪夢に繋がるなんて思ってもなかったんだよ。

「あー!仔猫だぁ!」

言うが早いか素早くアタシを捕まえたのは下の弟君。

「ホントだ。ねぇちゃん自分ばっかズルイな。」

上の弟君に取り上げられて、不満そうな下の弟君は
「遊ぼう!遊ぼう!」
ってアタシの尻尾を引っ張った。

「ふにゃっ!!」

イタタタ・・・・ちょっとそんなに強く握んないでよ。

その後の弟君達の仕打ちは、思い出したくない。
お母さんに見つかって怒られるまで、アタシはカナリの恐怖を味わった。





「ただいま〜。」
「にゃー!」

よしこが帰ってきた時間はもう、今日というより明日に近くて
フラフラと部屋に入ってきたその姿は、すごく疲れてて辛そうだった。

ぼふっ

ベッドにうつぶせに倒れこんだら、すぐに寝息が聞えてきた。

「ふに・・・。」

18歳になって夜の9時以降も仕事ができるようになったから
その分帰りも遅くなったって、言ってたけど
ホント疲れてるんだな。
メイクも落とさないで服のまま眠りつづけるよしこ見てたら
なんだかとても悲しかった。

【2日目終了】





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