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「おはようございます!」
「よっすぃ〜おはよー。」
楽屋のドアを開けたら、梨華ちゃんの声が聞えた。
まだ他のメンバーはきてないみたい。
「よっすぃ〜と2人きりだ。 嬉しいなぁ〜。」
よしこに抱きつこうとする梨華ちゃんを遮るように
肩に掛かったバッグから顔を出して一鳴き。
「みゃー!」
アタシのよしこに抱きつくなんて許さないっつーのっ
「きゃっ なに?よっすぃ〜猫連れてきたの?」
「あーうん。どうしても一緒に行くって離れないもんだから。」
「そうなんだ。可愛い仔猫だね。この前拾った仔猫ってこの子のことなんだ。」
「そうそう。かわいいっしょ?」
「名前は?」
「・・・ごま。」
「え?」
「ごま。」
真っ赤な顔して答えるよしこに意味がわかってない梨華ちゃん
「ゴマ?黒ゴマとか白ゴマとかのゴマ?」
「ちがくて、後藤真希のごま。」
「そういえば、なんとなくごっちんに似てるかも。」
「そうでしょ!もうね、一目見た時からごっちんぽいなーって思ってさ。」
わかってもらえて嬉しいのか、よしこのテンションが上がる。
似てるのは当たり前だよ。アタシ本人だもん。
「みゃ〜。」
ちょっと、梨華ちゃんとばっかり楽しそうに話さないでよ。
よしこに擦り寄ってゴロゴロとのどを鳴らす。
「なんだ〜ごまは甘えん坊だな。ほら、おいで。」
抱っこされた状態で、のどを鳴らし続けるアタシを梨華ちゃんが覗きこむ。
「いいなー。私にも抱っこさせて。」
「うん。いいよ。」
よしこの腕から梨華ちゃんの腕に移るのが不満で
「うにゃ〜。」
よしこの方に戻ろうとした。
ゴメンね、梨華ちゃん。
梨華ちゃんがイヤなんじゃなくって
よしこがイイんだ。
「よっすぃ〜の方がいいみたい。」
残念そうにアタシをよしこに渡す梨華ちゃん見てたら申し訳なくなって、
ごめんねのかわりに梨華ちゃんの華奢な手を舐める。
「くすぐった〜い。」
梨華ちゃんは嬉しそうに笑ってたから、ちょっと安心した。
「おはよー。」
「あ!矢口さん、おはようございます。」
「矢口さん見て見て、よっすぃ〜んちの猫かわいいんだよ。」
「え?猫?見たい!」
今度はやぐっつぁんが覗きこんでくる。
一応アタシもごあいさつ。
「にゃ。」
「かわいい!ね、この子の名前は?」
「・・・ごまです。」
よしこまた顔赤いし。
「よっすぃ〜・・・バカップルもここまでくると尊敬に値するよ。」
「なっ、なんですかっ。なんとなくごっちんに似てるんですよ。」
「あーはいはい。」
「すごーい、矢口さんは『ごま=後藤真希』ってすぐわかったんだ。」
「は?梨華ちゃんわかんなかったの?」
「うん。」
「黒ゴマとか白ゴマとかのゴマ?って聞かれました。」
「きゃはは!梨華ちゃんらしー。」
やぐっつぁんがアタシをぐりぐり撫でる。
そのたびにアタシの頭が右に揺れたり左に揺れたり。
目が回るぅ〜
「・・・うみゅ・・・みゃ・・・。」
あーフラフラしてるよ。
「うひゃ〜かわいいっ。」
いつのまにやらやぐっつぁんの腕の中に移動させられてるし。
よしこはどこだぁ?
「ちょっと、トイレ行って来ますね。」
アタシの頭を2回ポンポンって叩いて、
「ごま、おとなしくしてろよ。」
さっさと部屋から出て行った。
「矢口さんはいいんだ。」
「は?」
「さっき私が抱っこした時嫌がったのに。」
あー・・・梨華ちゃんのネガティブスイッチはいっちゃったよ。
「そんなことないでしょ。ホラ。」
今度はやぐっつぁんから梨華ちゃんの腕へ
ネガティブモードの梨華ちゃんは俯いたまま。
イヤじゃないよって気持ちをこめながらほっぺを舐めた。
「ほら嫌がってないじゃん。」
「うん。」
「きっと、よっすぃ〜が一緒だったからだよ。」
「この子よっすぃ〜のこと大好きなんだね。」
「そうそう。」
しばらくは3人(2人と1匹?)で楽しくのんびりと過ごしてたんだけど
例の2人組がやってきたせいで一気に騒がしくなった。
「「おはようございまーす!」」
「あー!猫!」
先に見つけたのはあいぼん。
やっぱ目ざといね。
「ホントだ。この猫どうしたの?」
新しいおもちゃを見つけたみたいに
アタシを見つめる2人のキラキラした目がなんか怖い。
よしこんちで弟君達がアタシを見る眼に似てる気がするんだけど。
ビビって2人の目から逃れるように
梨華ちゃんの方に身体を寄せた。
「もー2人とも、ごまちゃん怯えてるじゃん。」
「「ごまっていうの?」」
「そー。よっすぃ〜んちの猫。名前はごまちゃんなんだって。」
「バカップルめ。」
「え?なんでバカップルなの?」
「ののはわからんの?」
「うん。」
「じゃ、無理してわかる必要ないわ。」
「えーあいぼん教えてよ。」
「知らないでいい。ののはそのままでいて欲しい。」
あいぼん、わけわかんないし。
「うーん・・・あいぼんがそう言うならいいや。」
いいんだ。
ののはそれでいいんだ。
とりあえず、2人に捕まらないようにコソコソと逃げようと・・・
「「あっ待て!」」
したんだけど、捕まっちゃったよ。
ののとあいぼんはよしこの弟君達よりパワフルだから
アタシの恐怖は倍増した。
「「ごまちゃーん♪」」
うわっ
あいぼんグリグリするな、ヒゲ引っ張ったら抜けちゃうからっ
のの尻尾ひっぱんないでよ
イタタタ・・・
「ふにゃ〜」
我ながら情けない声・・・
「「そぉれ」」
コラコラ、アタシはボールじゃないの
投げるな!!
キャッチボールすんな!
もうヤダ〜
助けてよしこぉ!!
ガチャ
控え室のドアが開いて入ってきたよしこの姿が見えた瞬間
アタシは必死で、よしこに向かってダイブ!
「うわっ!・・・ごっちん?」
え?
今、『ごま』じゃなくって『ごっちん』って呼んだよね?
「あ、ごまだよなあ。一瞬ごっちんに見えたんだけど。」
目をコシコシ擦るよしこに
「よっすぃ〜、猫がごっつぁんに見えるなんて相当重症だな。」
って苦笑してるやぐっつぁん。
他の人達も笑ってる。
「うーん・・・ごっちんに見えたんだけどなぁ。」
ちょっと困ったように笑って頭を掻くよしこ。
そうだよ。
アタシだよ。
わかってよ〜!!
「うにゃー!」
「ごめんごめん。ごまはごっちんとは違うよな。」
一緒なんだよ。
あーもうっ
言葉が喋れないってなんて辛いのっ
目を見たら思ってることがなんとなくわかるってアタシ達の関係はどこいったのさー!
結局、よしこがアタシに気づくことはなかった。
あいぼんとののに遊ばれて、やぐっつぁんとなっちにかわいがられて
梨華ちゃんと圭ちゃんの楽屋デートのダシに使われたくらいで
何にも発展はなかった。
ちょっとー!もう明日しか残ってないじゃーん!
【6日目終了】
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